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A.I.(人工知能)がついにジャーナリストの労働市場まで進出しました。米国では報道機関のスポーツやビジネスレポートなどの発表原稿を既にA.I.が書いているという導入事例があるのです。
日本でも、A.I.を使って小説を書く試みがあり、公募の一次審査を通過したという実例が既にあります。突然の脅威的なライバルの出現に物書きは戦々恐々たる思いでしょう。
それでも、まだ8割方は人の手を借りた作品だというのが内情なので、ほんの少しは救われた思いがしますね。
しかし、米国ではロボット産業のホワイトカラー市場への参入事例が後を絶ちません。
当初主に見込まれていた単純作業労働だけに留まらない分野までロボットに雇用を奪われているというのが現実として突きつけられているのです。
米国のシカゴにある「ナラティヴ・サイエンス(物語の科学)」社の創始者であり、主任科学者のクリス・ハモンド氏がロボットにジャーナリズムの執筆の方法を伝授。
日を追って学習能力を高めるロボット。「A.I.が(このまま楽観的な予測を立てれば)5年以内にピューリッツァー賞を受賞するんじゃないだろうか。2030年までにはジャーナリズムの90%が機械化するのでは?」とハモンド氏は見ているのです。
また2015年12月、米国防省はNASAのA.I.兵器研究開発に対して150億ドルもの莫大な予算を2016年度に計上しました。
米国の人工衛星システムを駆使して開発された最新鋭の無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を遠隔操作する米軍人は、味方の血が流れない機械的な戦争を繰り広げてきました。
実際の戦場から遠く離れた米国本土で、操縦席に座って爆撃を操作しているためか、ゲーム感覚で心の痛まない「当然の感覚」として麻痺してしまった米軍人もいるようです。
しかし中には自分の操作した爆撃で人工衛星を経由して映し出された画面の中に、何の罪もない市民の姿を認めて「巻き添えにしてしまった」と良心の呵責(Moral Injury)に苛まれていることを告白する米軍人もいるのです。
このような性善説に基づく良心のある人間と比べた時、ロボットは完璧ではありません。
2016年3月末に米国のマイクロソフト社が開発して試験運用中だったA.I.の「Tay」がTwitter公式アカウントでナチスドイツのヒトラーを賞賛するようなツイートをし始めたことが物議を醸し、マイクロソフト社はツイッターを緊急停止しました。
悪質な第三者による意図的な教育を教え込まれたとみられる裏事情があるのです。
このように、ロボットは暴走します。善良な人間が全権を持つコントロールの下に必ずしも置かれるとは限りません。A.I.技術の過信は常にリスクを伴うものです。
前出のハモンド氏は「伝統的なジャーナリストは電話を使って現場を探し当て、物語を紡ぎだすけれど、私たちはデータにあたる」とA.I.技術の高さとデータジャーナリズムの力を自負しています。
しかし、野球の試合観戦レポートや企業の財務決算報告レポート、天気予報、統計を使った発表原稿と違って、調査報道は人間のジャーナリストにとっても極めて難度の高い領域。
特に戦場の真実を伝える役割を果たすのが、文字どおり命懸けで従軍取材する人間のジャーナリストであるはずです。
ドローン(無人機)を使った戦争が米国の常套手段となり「味方に血の流れない戦争」などと聞くと、一瞬聞こえはいいのですが、「実態の見えない戦争は市民が反戦デモを起こす機運を低下させるのではないか」と放送作家で映画監督のオリバー・ストーン氏が予てから指摘してきました。
A.I.という無機質なロボットではなく、血の通った人間の手で報道される職務として戦争に警鐘を鳴らし続けるのがジャーナリストの最も重要な使命ではないのでしょうか。
機械によって、不公平な社会の問題を解決され、全ての人に働かなくていい生活を楽しめるだけの手段や収入を与えられ、実際にみんながしている仕事の数を減らされたて・・そんなことかしら?いわゆる機械の進歩は、ただ人間の暮らしを奪っていくことにだけ有益なんじゃないかな。
物語はそこに味わいを加えるために見解を必要とする。もし、機械が面白い話を書くなら、誰かが見解を付け加えてきたはずだよ。だから誰かが影で操っている。彼なのか、彼女なのかわからないけど、それが一体誰なのかが知りたい。
特に危険な従軍取材を行うジャーナリストが直面している戦場では、欧米の取り入れた全自律型殺人ロボットの開発に活かせる技術として、日本のヒューマノイド技術は以前から狙われてきました。
ですが戦後70年間も戦争をしない国として「平和主義」を掲げてきた日本にはもっと有益なロボットやA.I.の使い道があるはずです。教育、介護、医療分野で貢献するロボットたち。
また新たな事例として、ソフトバンクの人型感情認識ロボット「Pepper(ペッパー)」がほとんどの業務をこなすケータイショップがあります。2016年3月末の6日間限定で東京・表参道に世界で初めて出店されました。
労働市場ではPepperに雇用を奪われかけているとも受け取れる日本の現実です。ある大手出版編集者は「近い将来、ロボット編集者などが開発されて私たちの仕事もロボットに奪われるかもしれない」という懸念の声を早くからあげていました。
しかしA.I.の開発が進んでいるとはいえ、まだまだロボットだけでは複雑な作業はこなせません。ほとんどが人間のサポートによって成り立っているのが現状なのです。
日本は、米国のようにA.I.を軍事利用するのではなく、人間のパートナーとしてのロボット産業を平和的に取り入れていると自負する国だという確固たる地位を世界に築く。それこそが、日本人の誇りとすべきA.I.技術の真骨頂なのではないでしょうか。
(参考)https://www.theguardian.com/technology/2015/jun/28/computer-
writing-journalism-artificial-intelligence
http://www.theguardian.com/media/2016/apr/03/artificla-intelligence-robot-
reporter-pulitzer-prize
http://futurism.com/pentagon-seeking-12-15-billion-weapons-research/
https://www.theguardian.com/technology/2016/mar/24/tay-microsofts-ai-
chatbot-gets-a-crash-course-in-racism-from-twitter
http://www.npr.org/2012/11/21/165663154/moral-injury-the-psychological-
wounds-of-war
https://www.hrw.org/topic/arms/killer-robots
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3407/3.html
http://b-chive.com/global-trends-toward-realization-risk-of-lethal-
autonomous-roboticswarfare-by-thinking-from-drama-ando-lloyd/
http://www.nhk.or.jp/fukayomi/maru/2013/131116.html
http://toyokeizai.net/articles/-/111093
脅威に感じても、その反面「まだまだだな」って思うところもある。だけど5年先のIT技術も想像できない部分があるので、まだ好評されていない方向から何か急にとんでもないものが出てくるかも!