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ドイツ軍の暗号機「エニグマ」は第二次世界大戦の戦争映画や小説で登場し、その名が広く知られています。
当時の最高レベルの暗号技術とされていますが、ナチス・ドイツの高官らが極秘通信用により複雑な暗号機「ローレンツ」を使っていたことはあまり知られていません。
エニグマは第二次世界大戦当時の暗号機として桁違いな性能を誇っていました。エニグマの意味はギリシャ語で“謎”という意味。正に暗号機にふさわしいネーミングですね。
ドイツが第一次世界大戦に降伏した1918年にドイツ人の電気技術者アルトゥール・シェルビウスが発明しています。ローターを使った電気機械式の暗号機で、1925年からドイツ軍で制式採用されました。
この暗号機が数年早くドイツ軍に納入されていたら、第一次世界大戦や世界史の行く末は変わっていたかもしれません。
エニグマは組み合わせが1京(10,000,000,000,000,000)という驚異のハードウェアです。同時にそれを運用するソフトウェアも非常に優れたものでした。
暗号機を捜査するオペレーターは一ヶ月分の日替わりの使い捨てカギコード表が配布されていました。これにより毎日違う暗号コードで通信が行えたのです。ナチス・ドイツ軍が広い戦線で緒戦を有利に戦えたのはエニグマのおかげでした。
絶体絶命の危機にあったイギリスはドイツの暗号解読に総力をあげて取り組んだのです。イギリスは、数学者や言語学者らを総動員して暗号解読部隊を編成し、暗号電文の解読に成功します。
ドイツ軍司令部と各部隊との間でやり取りされる膨大な暗号電文やドイツ軍から奪った暗号表やエニグマ暗号機を緻密に分析することで“謎”は解かれたのです。
イギリスは1940年頃からエニグマの解読に成功していたにも関わらず、そのことは1970年代まで公表されませんでした。これらの情報は戦時中のみならず戦後もイギリスの国益に関わる問題だったのです。
大天才数学者で「人工知能の父」と呼ばれるアラン・チューリングもこの解読に参加しています。
今でこそ、彼の業績は高く評価されていますが、イギリス政府は彼を同性愛の罪で逮捕(1952年当時のイギリスでは有罪)して、自殺に追い込みました。そして機密を守るために彼の存在や業績に封印をしたのです。
なお、ヒトラー総統や側近らはエニグマより更に複雑な暗号機「ローレンツ」を使っていました。エニグマ暗号機が数万台も作られたのに対して、ローレンツ暗号機はわずか200台しか作られていません。
1943年、イギリスはローレンツ暗号の解読用に世界初のコンピューター「コロッサス」を開発しています。イギリスはこのコンピューターの設計図を償却し、関係者には戦後も口外を禁ずるほど、徹底的にコロッサスの存在を極秘にしたのです。
2016年5月、ローレンツ暗号機がインターネット・オークションe-Bayでわずか9.5ポンド(1500円)にて落札されたニュースが世界中に配信されました。
世界中に4台しか残っていない大変貴重なものだったのです。参考までに2015年にエニグマ暗号機は1500万円で落札されています。
このローレンツ暗号機はイングランドの片田舎の小屋に長年放置されていたもので、イギリスの国立コンピューティング博物館のボランティア・スタッフがe-Bayで発見したのです。
このニュースには多くのコメントが寄せられています。
戦後、イギリスはドイツから大量のエニグマ暗号機を奪い、アフリカや中南米諸国に販売したのです。そしてイギリスは彼らの極秘通信を素知らぬ顔で解読していました。
また、ローレンツ暗号が解読不能と思い込んでいたソビエトはドイツから奪ったローレンツ暗号機を使用していたのです。当然のことながら、ソビエトの機密電文もイギリス・アメリカには筒抜けでした。
英米はインテリジェンスに長けた国です。近年ではアメリカがドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたことが露見しました。彼らの老獪さは日本も大いに見習う点です。
正直な国民性のせいか、日本ではスパイや暗号に対してネガティブなイメージが強すぎるような気がします。イギリス秘密情報部やアメリカ国家安全保障局レベルの対外情報機関を持って、海外から一目置かれる存在になって欲しいですね。
(参考)https://en.wikipedia.org/wiki/Cryptanalysis_of_the_Lorenz_cipher
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3615140/Code-machine-Hitler-
generals-used-swap-secret-messages-rusting-Essex-shed.html#comments
https://en.wikipedia.org/wiki/Enigma_machine
エニグマって何か聞いたことあったけど、暗号解読機のことだったんだ。1500円は誰もが安いと感じると思うけど、歴史的な価値はないのかな?
暗号機を開発したドイツもすごいがそれを解読したイギリスもすごい。日本はスパイ天国と言われるがそれは本当、スパイと言うだけでは逮捕されないので活動がしやすい。日本がスパイ防止法を立法しようとしても左派勢力が特高警察や憲兵、治安維持法などのネガティヴイメージ戦略を持ち出し反対する、また強力な諜報部を作くれば政治家自身の秘密が諜報によって知られてしまい自分の首を絞めることになると恐れる為に進まない。結果日本は情報戦後進国のままであり、外交で勝てるわけがない。情報なしで世界と戦えるわけもなく相変わらず日本人の甘さが露呈している。戦後の日本が武力外交を放棄すると言うなら一層外交力を付けなければいけないのに軍事に縛りを付け尚且つ情報弱者で外交も弱いでは話にならない。外交力がなければ真面目に経済活動をしている日本企業が結局は損をする。諜報戦を狡猾に思うかもしれないが実は日本人や日本企業を守る為に必要なもの、過去日本国が情報戦に失敗しいかに日本の企業が損害を被ってきたか