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飛行機の大型化が進んでいますが、世界には飛行機を運ぶための飛行機というものがあります。エアバス・ベルーガは今世界で最も注目されている広胴貨物輸送機なのです。
エアバス社とはフランス、ドイツ、イギリス、そしてスペインの4カ国が共同して運営している世界最大級の航空機メーカーです。
かつてボーイング社が市場を独占していたことに危機感を持ったヨーロッパ主要国はアメリカに対抗できる航空機メーカーを設立。両社は世界中で熾烈な受注獲得競争をしていますが、2000年以降はエアバスの優勢が続いています。
日本人にはエアバス社よりもボーイング社の方が馴染み深いですね。日本市場では長年ボーイングの独壇場だったからです。日米貿易摩擦の解消のために、日本は当然のようにアメリカから航空機を買っていたのです。
もちろん、アメリカが日本の航空産業の復活を恐れて独自開発やアメリカ以外との共同開発を厳しく制限してきたことも影響しています。
しかし、B767以降の航空機の開発・製造は本格的な国際分業体制に移行します。例えば、日本の負担率はB767で15%、B777で21%、そして最新鋭のB787では35%です。
アメリカのボーイング社は、各地から供給された部品を最終的に組み立てて飛行テストを行う拠点として機能しています。このため、部品を運ぶ飛行機の需要が高まっているのです。
初期の広胴貨物輸送機はボーイングのプレグナント・グッピー(身籠ったグッピー)で、その後スーパー・グッピー、ドリーム・リフターに発展していきます。
エアバス社は分業体制を維持するために、ライバル社のスーパー・グッピーを使う屈辱的な状態が続きました。ベルーガはエアバス社が独自開発した念願の広胴貨物輸送機だったのです。
ベルーガの特徴はなんといってもユニークな形状です。流線型のボディと、塗装もセンス抜群。コクピットの上が大きく開く姿はまるでイルカが口を開けているようで愛嬌があります。
ベルーガの意味はシロイルカ。ネーミングもいいですね。もちろん性能面でも積載量や飛行距離などでボーイングのグッピー輸送機を圧倒しています。
このベルーガに対しては多くのコメントが寄せられています。
エアバス社の各工場で作られた部品を組立工場(フランス)に輸送するのがベルーガの主任務です。それ以外にかさばる荷物を輸送するためにチャーター運行をすることもあります。
その中には人工衛星やヘリコプター、美術品などの輸送も含まれています。1999年にはフランスとの文化交流事業でルーブル美術館の国宝級の名画「民衆を導く自由の女神」が東京国立博物館に貸し出された事がありました。
この輸送にもベルーガが使われました。また、国際宇宙ステーション・ヨーロッパ実験棟のケネディ宇宙センターへの輸送にも活躍しています。
近年、日本の航空産業も本格的な復活の兆しがあります。中距離旅客機の三菱MRJや次期支援戦闘機F-3の開発も進んでいます。エアバス社はアジアを、市場としても生産拠点としても有望視しています。
またエアバスは増産に備え、2019年の就航を目指してベルーガより3割貨物容積が広いベルーガXLを開発中です。日本の空で新型ベルーガが見える日も近いかも知れませんね。
(参考)http://www.cato.org/blog/airbus-beluga-how-bad-government-
makes-cool-looking-things-sometimes
飛行機の中から飛行機が出てくるなんて、写真見ててもなかなかイメージわかないから実際に見てみたい。ベルーガってネーミングはうまい!と思った。