日本の魅力を発掘するだけでなく、他国の環境・法律・文化などを見て、いかに日本が素敵な国かを見直すサイトになります。
ウクライナのバレエ・ダンサー、ミレナ・シドロヴァが踊る蜘蛛のようなダンスが注目を浴びています。才能と情熱、そして独創性にあふれた彼女のダンスはとても印象的です。彼女のキャリアや受賞などについて紹介していきましょう。
YouTube上に公開されたミレナ・シドロヴァのダンスは『The Spider』(蜘蛛)と名付けられています。その名の通りまるで本物の蜘蛛のような不思議な動き。特に手足や関節のバネの柔らかさと動きはそっくりです。
もし彼女が目の前で突然踊りだしたら、思わず逃げたす人も多いでしょう。初めて観る方にはちょっと衝撃的かもしれませんね。
ミレナ・シドロヴァは1987年にウクライナの首都、キエフに生まれます。キエフはあまり日本人には知られていませんが、東ヨーロッパ最古の都市で、文化・芸術の中心地として発展してきました。
彼女はこの街の名門、ウクライナ国立バレエ学校でバレエを学びます。若い時から才能を開花させます。
13歳の時にアルテック国際コンクールで2位、14歳の時にモスクワ国際バレエコンクールで3位(史上最年少)、15歳の時にローザンヌ国際バレエコンクールでスカラーシップ賞に選ばれています。
この賞の副賞として世界で一流のロイヤル・バレエ・学校(ロンドン)への入学と約180万円の奨学金を手にします。
特にローザンヌ国際バレエコンクールはトップを目指すダンサーたちの登竜門と言われています。スイスのローザンヌで開催されるコンクールで、15~18歳の若手のみを対象。
才能を秘めた若いバレリーナたちが集まるので、その結果は世界で注目されているのです。ファイナリストにはスカラーシップ賞やプロ研修賞などが与えられます。
建前上はファイナリストの点数は非公開ですが、得点の高い入賞者ほど後に名前が呼ばれ、得点の高い受賞者から優先的に好きな学校や研修先を選ぶことができます。
日本人も累計で70人以上がこの賞を受賞しており、その中にはイギリスのロイヤル・バレエ団で22年間もプリンシパルを務めた吉田都や、東洋人として初めてロイヤル・バレエ団に入団してプリンシパルを務めた熊川哲也なども含まれています。
近年では1位を獲得した菅井円加や二山治雄などがよく知られています。
話は少しそれますが、日本は本家ヨーロッパを凌ぐバレエ熱心な国です。日本のバレエ人口は推定40万人で、大小含め1万のスクールがあるとされています。
残念ながら若い才能がどんどん育つ割に、まだ国内で実力を発揮できる場は多くありません。一流のバレエ・ダンサーは活躍の場を求めて世界中に羽ばたいていくのです。
さて、ミレナ・シドロヴァの『蜘蛛』の動画は930万回以上再生されていて、世界中から多くのコメントが寄せられています。
ミレナ・シドロヴァはロイヤル・バレエ学校を卒業後も世界的なバレエや振り付けの賞を受賞し、ヨーロッパのバレエ専門誌でも高い評価を受けています。現在はアムステルダムのオランダ国立バレエ団に在籍し、着実にキャリアを高めています。
もちろん、彼女のダンスは蜘蛛だけではありません。ローザンヌ国際バレエコンクールでみせた長い髪を獅子舞のように使うダンスも魅力的でした。プリンシパルやソリストとして舞台に立つ日もそう遠くないでしょう。
ミレナ・シドロヴァはインタビューの中であの『蜘蛛』のダンスについて、子どもの頃に好奇心が強く、蜘蛛の動きを熱心に観察したことがこの作品の振付に結びついたと語っています。
一流のダンサー・振付師には、天性の身体表現力や自身の才能を信じられる情熱に加え、強い好奇心や豊かな感受性が不可欠なんですね。
(参考)http://www.prixdelausanne.org/winners/milena-sidorova/
https://www.facebook.com/MilenaSidorovaOfficial/info/?tab=page_info
https://balletthebestphotographs.wordpress.com/tag/milena-sidorova/
こんなダンス、正直ちょっと考えればできそうだけど、多分何か大きなバックグラウンドもあって、有名になったんだろうな。無名のダンサーが蜘蛛のマネしたって失笑しか生まれないかも。