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ノンバンク「消費者金融」の広告をよく見かけます。もし、その利息が年利292%だとしたらどうでしょう?10万円を借りた場合、1年で29万2000円の利息。つまり1年後の返済額は39万2000円です。「えっー!」。
しかし、この「年利292%」は、イギリスでは合法的なノンバンクの利率です。暗躍する非合法な金融業者は、その10倍もの利息を違法に取り立てています。イギリス政府は、悪徳業者の取り締まりに乗り出しました。
マンチェスターの高利貸しケイリーは1200人に対して360万ポンド(約6億1200万円)ものお金を違法な高金利で貸付け、5年間の有罪判決を言い渡されました。
彼の設定していたのは年利は、433%から2,437%というトンデモないものです。借りた300ポンド(約5万1000円)が12週間で3000ポンド(約51万円)に膨れあがり、自殺に追い込まれた被害者もいます。
支払いができない女性に性的行為を強要したことさえありました。非情な業者にとって最優先事項は「お金」。それだけです。「子供に食べさえる余裕があるなら、まず、支払ってから」。
貸し借りの際、条件を記載した契約書はありません。支払いが滞ったとたん、違法業者は法外な金利をふっかけて借主を追い詰めてゆきます。
パスポート、運転免許証を取り上げたり、場合によっては銀行のキャッシュ・カードの暗証番号を聞き出し、お金を直接引き出してしまうケースさえあります。
借りにくる人がいる限り、違法業者の数が減ることはありません。違法金融業者から金を借りている人は、イギリス全土で約31万人にのぼると言われています。
1回に借りる額は平均で350ポンド(約5万9500円)。350ポンド(約5万9500円)が14週間後には700ポンド(約11万9000円)に膨れ上がってしまいます。その結果、返済するために借金を繰り返すはめに。
違法金融業者対策本部長は語っています。
高利貸しから金を借りたとき、最初のうちは恐怖に怯えてしぶしぶ返済する。しかし、膨れ上がった高利の支払いに追われているうち、家賃の支払いができず借家から追い出されてホームレスに。
夜逃げせざるを得ない状況から、犯罪に繋がるケースもある。悪徳業者に持ち金をすべて牛耳られ、子供の食費と公共料金の支払い分として、ほんの僅かなお金しか手にできない被害者もいる。これでは、生きてゆく希望さえとだえてしまうだろう」
違法業者から繰り返しお金を借りた結果、借主は永遠に借金から逃げることができなくなってしまうケースが多発しています。払っても払っても元金はなくならない。
借金の返済を強制する法律がないため高利貸しが使う唯一の手段。それが恐喝と暴力です。
違法金融業者「シャーク」による悪質な取り立てによる被害があとをたちません。俗称「シャーク」という名は、その恐ろしさを語るに十分です。シャークからお金を借りた本人と家族は、執拗な取り立てによる暴力的被害に怯える日々を送っています。
その防止対策のため、違法金融業者を取締まる対策本部は、被害者60人から聞き取り調査を行いました。対策本部の発表によると、全英の違法金融業者は、年間70億ポンド(約1兆1900億円)以上の過剰金利を違法にまきあげています。
対策本部は、恐怖におびえる被害者を救うため、調査の実施に着手しました。その目的は、暴行の実態とその数を把握して、被害の拡散を防ぐことにあります。
緊急性があると判断された、特に深刻な60件の事例について現在、調査がすすめられています。対策本部は「違法に搾取された利息の額は、発表されている70億ポンド(約1兆1900億円)を大きく上回っているはず」と語っています。
対策本部長は語気を強めて語りました。
違法取引は深刻な犯罪。もはや個人的な問題を超えて、社会全体に悪影響を及ぼしている。地下経済に隠れ、脱税の温床にもなりかねない」
対策が強化された2004年以降、違法な高利貸し300人に有罪判決が言い渡されました。それにより23,000人もの被害者が救われ、4,200万ポンド(約71億4000万円)の違法な金利が無効とされました。
なかには、250ポンド(約4万2500円)の借金のため17年間に渡り、90,000ポンド(約1530万円)を支払わされていた事例もあります。裁判所は、この件で貸主に対して8ヶ月の刑を言い渡しました。
大都市にとどまらず、地方の小さな町でも捜査はすすめられています。地方行政府は、取り締まりの権限を委譲されました。また、捜査官、弁護士、被害者救済グループなど60名の専門家がチームを編成し活動しています。
被害者専用のヘルプラインを設置し、匿名で電話相談を受け付けています。1ヶ月間にヘルプラインで対応した相談件数は50件から60件。
借主は「シャーク撲滅キャンペーン団体」から金銭的支援を得て、合法的な金融業者へ借り換えすることにより、問題を解決しています。
違法業者からお金を借りる人が1人でも減ってくれれば、それで対策の効果があったと言えるでしょう。取り締まりを継続的に行い、被害者救済に力が注がれていくことを期待します。
イギリスの違法金融業者の取り締まりが強化されていることは前進と言えるでしょう。しかし、合法的なノンバンクの年利は292%。これもかなり深刻な利率ではないでしょうか。
1度たりとも手をだしたら人生が破滅してしまいそうです。イギリスの違法業者については、まさに論外。お金を借りる時は十分に注意する必要があることを再認識させられる事例でした。
(参考)http://www.theguardian.com/uk-news/2014/jan/24/sixty-victims-loan-
shark-witness-protection-illegal-moneylending
こんなに借金が膨らんだらもう絶対完済なんて無理だ。自殺を選ぶ人がいても不思議じゃないけど、日本ほどお金を借りることが一般的じゃないのかな。