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2013年12月、アメリカ北東部とカナダのオンタリオ州がアイスストームと呼ばれる冷たい雨の嵐に襲われ、多くの地域が停電に見舞われた。
被害が大きかったエリアのひとつがカナダ最大の都市、トロントとその近郊エリアだ。一時は30万世帯以上が停電していたという。
アイスストームは、日本語で「雨氷」といい、全てのものに氷を付着させる冷たい雨を伴った嵐のことを言う。
そんな冷たい嵐がトロントを直撃したのはクリスマスを目前に控えた日曜日だった。この日のトロントの最高気温はマイナス10度。当初は、すぐ復旧されるであろうと見込まれていたが、クリスマスを目前にしても一部の地域では停電したまま。
トロントでは多くの家庭が電気コンロやIHコンロを使用しているため、料理ができない。ガスはあっても給湯器が電気で制御されているため使えず、シャワーが浴びれない。
マンションなどはポンプやモーターを使って給水あるいは循環させているため水も底を尽きていき、トイレも自由に使えなくなっていく。
そして何より致命的なのが暖房だった。この時期トロントの気温はマイナス10度を下回る日も少なくない上に、今の時代さすがに暖炉を持っている家庭などそう多くはない。
室内でも数日暖房がないままなら、0度近くまで気温が下がってしまう。
1~2日で復旧した地域もあったが、それ以外の地域ではこんな日々が何日も続いた。
クリスマスを真っ暗闇の中で凍えながら過ごした家庭もあったそうだ。他にも、知り合いや親族の家を転々とした人や、急遽旅行に行くことを決めた人などもいた。
家で温かい食事を囲んで、のんびりと家族団らんの時を過ごすはずだったクリスマス休暇が台無しになってしまった、と疲労感を見せる人も。
すべての地域に電力が戻ったのは、なんと1週間後だったという。
そもそも、この大規模停電の原因はなんだったのか。それは、嵐によって折られた木の枝が送電線を切れてしまったことによる。
トロントは土地の28%、およそ1千万本の樹木が植えられている。しかも、その中には1900年代からあるような古く大きな木も多く存在し、今回の氷の嵐で枝が折れ大規模停電の引き金となったのは、このような古くて大きな木々だったそうだ。
そして、ありえないことに、この切られた送電線は木々の枝の合間をくぐるように張られていたという。だれが見ても、木が倒れたら送電線に影響が出ると容易に想像できる状況だった。
さらに、北米の配電システムは、送電線に異常が起きると、影響が発電所に波及するのを防ぐため、発電所を送電の系統からとりあえず切り離してしまうそうだ。
さらに異常が他の地域に波及しないよう、すべての送電システム自体をも遮断してしまうこともあるそう。実は、これは、発電所自体がどの送電線を切れば事故拡大が防げるのかを把握していないことが原因だそうだ。
たった1カ所電線が切れてしまっただけでも、広域にわたって影響を及ぼしてしまうのはこのせいなのだ。
幸いなことに、商業施設やそれらが集まるダウンタウン、病院施設など、一部の地域では停電は起きなかった。その点は配慮されていたのではと考えられる。
トロントが、過去の政治的ないざこざから抜け出し、将来への投資をはじめてくれることを祈っています。美しい都市がそのような政治家に悩まされるのは悲しいことです。
ちなみに、日本では電力系統の構成が違い、さらに、あらかじめ停電があった場合はどこの送電線を切り離せばいいかが取り決められているため、このような事態が起きる可能性は極めて小さいと専門家は言う。
(参考)http://news.nationalpost.com/2013/12/26/thousands-of-canadians-enter-sixth-day-without-power-after-worst-ever-blackout/
最近は異常気象が多く、日本でも1000年に一度の地震や大雨が報道されている。
しかし真冬の大都市で1週間も停電が起きたら、死者も出かねないので対策はしっかりしてほしい。