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ロシアには巨大な船を陸上輸送する鉄道があります。このシステムはシップリフト(インクライン)と呼ばれています。ロシア中部のクラスノヤルスク・ダムにあるこの設備は世界最大の規模を誇っています。
ところで、どうして船を陸上輸送するか分かりますか?船が移動できる場所といえば、海や湖、河川などいろいろありますが、場所によっては水位が違う場合があるのです。この時に使われるのがシップリフトです。
これには3つの方法が使われます。水門を使って水位を調整しながら移動するロック方式(例:パナマ運河)、巨大なエレベーターで船を昇降させるリフト方式、そしてレールで船を陸上移動させるインクライン方式なのです。
そして、インクライン方式には船だけを貨車に載せるドライ型と水ごと貨車に入れるウェット型があります。
このクラスノヤルスクのシップリフトは世界最大のウェット型インクライン方式です。この規模は半端じゃありません!なんと、1500トンの船を路線で9km移動できるのです。水位差は104mもあります。
クラスノヤルスク・ダムはロシア中部のクラスノヤルスク市近郊にある巨大なダムです。16年の歳月をかけて1972年完成したのです。ダムでせき止められた湖は2000平方kmもあり、別名「クラスノヤルスク海」と呼ばれているんです。
シップリフトはこのダム湖と下流の川の間を移動する船のために作られているのです。日本ではほとんど知られていませんが、クラスノヤルスク市はシベリア中部にある人口100万の中核都市です。
当時の建築技術を結集して作られたクラスノヤルスク・ダムはロシア人の誇りです。そしてこのダムはロシアのルーブル紙幣の絵柄になっています。
日本を含む多くの国では紙幣には人物の肖像がデザインされる場合が多いですが、ロシアでは伝統的に、ロシアを代表すると都市(または都市を代表する建築物)がデザインされています。
クラスノヤルスク・ダムのシップリフトの動画はユーチューブ上にアップロードされています。そのユニークかつ巨大なインクラインには強い関心が寄せられています。このシステムは他の国や地域でも使われています。
カナダのオンタリオ州にあるドライ型のインクライン(ビック・シュート・マリン・レールウェイ)の動画も紹介していますので合わせてご覧ください。カナダの水位差は僅か18mしかありませんが、クラスノヤルスクの大きさが実感できると思います。
実はシップリフトのシステムは日本にもあるのです。日本では船を陸上のドックで造船または修理を行なう場合に水辺との移動用に使われています。もちろん、その移動は造船所内に限られています。
また、かつては琵琶湖疏水(琵琶湖と京都間の水路)と宇治川に間に640mのインクラインがありました。これは昭和23年には運用停止していますが、現在でも線路の一部や船用の貨車が産業遺産として残されています。
日本からシベリアの奥地のクラスノヤルスク・ダムまで行くのは大変ですが、京都の市内観光の際は、ちょっと日本のインクラインに立ち寄ってみてはどうでしょうか。
(参考)https://en.wikipedia.org/wiki/Krasnoyarsk_Dam
日本は島国だからこういう技術はあまり必要なかったのかな。でかさの規模がすごいなぁ。人がアリのようだ。