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敗戦の混乱期の中で製作・公開された黒澤映画「羅生門」は1951年のベネチア映画祭の最高賞を獲得しました。彼の作品は世界中の観客に衝撃を与え、その後の映画界に強い影響を残しました。
今なお「世界のクロサワ」としてファンを魅了しています。
日本は第2次世界大戦の敗戦で大きなダメージを受けました。1950年、まだアメリカの占領下だった日本から映画監督、黒澤明は世界に衝撃を与える作品を発表しました。この映画「羅生門」は文豪、芥川龍之介の小説「藪の中」と「羅生門」の2作をベースに作られています。
ハリウッドのような撮影専用施設もない当時の日本では、わずか3つのロケーションと最小限の撮影セットのみで撮影が行われました。それでもこの映画が世界的評価を得た理由は3つ挙げられます。
1つ目はこれまでにない大胆かつ繊細なカメラワークです。1つのカットを複数のアングルで撮影をしたり、望遠レンズを使うなどして臨場感と躍動感が伝わるようになっています。
観客は自分の目でみているような自然な感覚でスクリーンに釘付けになってしまいます。また登場人物の心理的内面を表すような絵画的で印象的なカットが散りばめられています。それまでの映画では注目されなかった太陽や影などの自然な光の動きも効果的に使われています。
2つ目は緻密に練られたシナリオです。この映画では、強姦と殺人という事件に対して、4人の当事者と証人がそれぞれの立場で真相について異なった証言をします。黒澤監督は「真実は人の解釈次第である」という普遍的なテーマをスクリーンで初めて取り扱ったのです。
なお、この作品で見事に表現された「矛盾する解釈・多様な現実」という見方は「羅生門効果」として今日の司法や心理学の分野に名を残しています。
そして最後は役者の演技です。黒澤監督は役者たちに複雑かつ高度な演技を大胆にこなすよう求めました。難解なシナリオに合わせて各々が1人4役をこなさなければなりません。
そしてそれぞれの役と一体となり、舞台役者のように分かりやすく演じているのです。黒澤監督の過酷な要求に応えた演技からは登場人物達の人間臭さが生々しく伝わってきます。
それでは、今日の世界の人々はどのように黒澤監督と「羅生門」を評価しているのか、紹介していきます。
黒澤監督が鬼才であったことは誰もが認めることですが、総合芸術である映画は1人では作れません。「羅生門」の国際的評価は、彼の才能を支える役者や撮影スタッフなどの人材が戦後の日本映画界に揃っていたことを示しています。
また日本の素晴らしい歴史や高いレベルの文学などあらゆる要素が彼の映画を支えていたのです。彼の作品は今日でも世界中の人々に愛され、映画監督や映画評論家からも尊敬されています。
その中にはフラン・スコッポラやジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、チャン・イーモウと言った高名な監督も含まれています。
(参考)
http://www.classicartfilms.com/rashomon-1950
https://www.youtube.com/watch?v=xCZ9TguVOIA
http://genius.com/Benjamin-r-swanson-rashomon-analysis-annotated
http://www.rogerebert.com/reviews/great-movie-rashomon-1950
http://www.criterion.com/current/posts/195-the-rashomon-effect
https://starreviews.wordpress.com/2013/09/03/rashomon-1950/
海外のコメント見るとこんな古い映画をよく見てるなぁと思った。海外でも有名な映画らしいけど、日本でもテレビでやってくれないかな?激動の時代によくここまで影響力のある作品が作れたのはすごい。
敗戦後わずか五年つうけど、戦前から映画製作の蓄積あったし
菊と刀でも戦前の日本映画は絶賛されてんね
IMDBでも、高評価の戦前の日本映画あるな
芥川の小説では「藪の中」だったから、羅生門の題名で見たならそりゃ違う作品だよね
芥川とか太宰の近代文学は文体が古いから微妙〜に読みにくいんだけど
「藪の中」はあまりに面白くてスラスラ読めたから
それ原作にしてれば面白いわ…
映画見たことないから見てみようかな。
ここよむ限りほぼ「藪の中」の感想だけど上手くくっつけてるのかな?
日本映画の現状は悲惨です。
フィルムで観ないと伝わりにくいけど陰影の使い方が神がかってて、白黒とは思えないくらい色彩感じる。技術力が凄いんだよねぇ。今やロストテクノロジーだけど。
とは言え、
小津「東京物語」 (1953)
溝口「雨月物語」 (1953)
木下「二十四の瞳」 (1954)
黒澤「七人の侍」 (1954)
成瀬「浮雲」 (1955)
羅生門からの日本映画の無双っぷりは半端ないっすわ。
ゴジラ忘れるな七人の侍とゴジラが同じ年に公開されるとかすげーは