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給食とは、栄養価に優れ、健康的で安全なもの。日本では当たり前の認識は、いつインドに訪れるのでしょうか。
就学児童の栄養状態を改善するため、女性子ども開発省大臣マネカ・ガンジーは、インド国内の学校給食からジャンクフードを一掃する計画を明らかにしました。
政府は、健康的で品質の高い、安全な食事を生徒に提供することを目的に掲げています。今回の発言は、何が「ジャンクフード」なのかを明確にし、また生徒に対しジャンクフードの危険性について教育してゆく方針を打ち出したものです。
インドでは、初等学校(6~11歳)及び上等初級学校(12~14歳)に通う子どもたちに無料で給食を提供しています。給食制度の主な目的は、「調理された温かい食事」を子どもたちに提供することです。
また、子どもたちの栄養状態の改善や、恵まれない境遇にある貧しい家庭の子供達にも、教育の機会を均等に開き学校へ通えるようにすることも目的として掲げています。
全国約126万5千の学校に通う約1億2千万人の児童を対象とするインドの給食制度は、「世界最大の給食制度」と呼ばれています。
しかしながら、今回インド政府がこのような取り組みについて発表を行ったのは、上記の目的が十分に達成されていないといった背景があるからです。
当初は、子どもたちに提供される食品は、調理された暖かい食物、もしくは加熱処理済みの食品と穀物類であると予定されていましたが、現実にはグジャラート州やケーララ州といった一部の地域でしか実現できていません。
ほとんどの地域では、温かい食事の代わりに、フルーツパン、ビスケットや固形食物などが提供されています。そして、それすら毎日提供されるわけではなく、1ヶ月の内1日も給食が出ない学校もあるのです。
給食を調理する燃料や材料を購入する資金が政府から届かない上、物流の問題から主食のコメさえも届かないといったことが原因として挙げられています。
このため、子どもたちの栄養不足は、非常に深刻なレベルとなっています。給食制度は、初等学校では12グラムのタンパク質と450カロリーの熱量、上級初等学校では20グラムのタンパク質と700カロリーの熱量を確保するために、温かい食事を義務付けています。
しかし、人材開発省は、2010年から2012年の間デリーで供給された給食の約95%がこの基準に達していなかったと発表しました。
また、栄養不足に加えて、深刻なのが低体重児の比率の高さです。世界銀行によれば、全世界の低体重児の内、約42%がインドに集中しているといいます。
インド医学研究評議会は、6-9歳児の内の58.6%、10-13歳では77.9%が低体重児であり、軽度の栄養失調を加えれば、その数字は実にそれぞれ94.1%と96.4%に登ると発表しています。
初等教育における中途退学率は実に60%にも上るという報告もあるため、インド政府は「十分な栄養価のある食べ物」を子どもたちに供給するという宣言を行い、対策に追われています。
これが実現できるのであれば、給食を目的に学校へ通う児童が増えるため、インド政府の取り組みは、単に子どもたちの栄養状態への懸念からではなく、貧困から発する就学率の低さを改善し、しいては未来の国家を担う人物を育んでゆくためのものなのです。
インド政府の今回の発表に対し、インド国内を始め世界中から賞賛の声が集まっています。
今回のガンディー大臣の発言に伴い、インド食品安全基準局(FSSAI) は、学校に対し提供する健康的な食物に関するガイドラインの策定に取り組んでいます。デリー高裁は、全国の学校やその付近でのジャンクフードや炭酸飲料の販売を規制するための調査を始めました。
しかし、ジャンクフードを給食から一掃したとしても、インドの給食の問題が根本的に解決されるわけではありません。
電車やバスの到着時刻など何時間遅れても当たり前のインドにおいて、遅延や横流しの心配なく確実に給食の材料が配達されるのか、という問題は、ジャンクフードの排除よりももっと難しい問題でしょう。
また、たとえ配達されたとしても給食を調理する環境の衛生状況はどう改善してゆくのか、といった問題も残ります。
特に、公立学校ともなると教育設備も十分でなく、それ以前にトイレがきちんとないのですから、そこで給食を作るというのは、日本人の感覚からすると信じられないですよね。
昨年にはインド東部のビハール州の小学校で、給食を食べた児童が集団食中毒で死亡した事件も発生しています。「栄養が高く健康的で安全な給食」というインドの目標には、まだまだ幾重にも高い壁が残るようです。
(参考)http://timesofindia.indiatimes.com/india/Maneka-mulls-
ban-on-junk-food-in-schools-across-the-country/
articleshow/36056916.cms
一ヶ月一回も給食出ないなんて、給食が楽しみで学校行ってる子供は行く意味ないじゃないか!インドは人口が多いので、子供の数だけでも日本の全人口と同じぐらいいるのを知って驚いた。さすが「世界最大の給食制度」と言われるだけある。