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無理強いされると無理強いしたくなるのかもしれません。
中国当局の権力は絶対的なものですから、学校であろうと商店であろうと、立ち退くよう言われたら立ち退くしかありませんし(もともと全土は全て国のもの)弱者の権利を守るという発想はありません。
そんな環境で生活しているといつの間にか、権力など関係無い個人的な事柄もみな、無理強い、ごり押し、やったもん勝ち、な発想で進むのが当たり前になってしまうのかもしれません。
説得するとか、代替案を提示するとか、妥協するとか、そういう発想はそもそもありません。
上海ディズニーランドは上海市の郊外にあります。上海市も北京市などと変わりなく大気汚染が進み、ひどい日は濃霧が立ち込めたような大気汚染で前が全く見えません。
ただそれでは、せっかく外国からディズニーランドへ来た観光客に、中国イコール空気が悪い、をアピールするようなものです。そこでディズニーランドオープン前に、この辺りの工場、特に金属系、化学物質系は全て立ち退きとなりました。
ディズニーランドの建物がこの辺りまで出来上がって来た頃、近くの150の工場の立ち退きが決まりました。これにより年間40,000トンもの石炭使用を抑えることができます。
そして代わりに、観光産業や農業の誘致が始まりました。土地は空きっぱなしではもったいないので、空気を汚さない産業に是非使ってもらおう、というわけです。何とも都合のいい話です。
このようなお上の圧力が全く珍しいことではない中国では、会社内でも当然上が下へ圧力をかけます。
例えば河南省のある企業に大卒新入社員として大量に就職した女性たちは、その後の人生計画案を会社に提出する義務があります。いつ結婚し、いつ出産するつもりなのか、計画を提出しその計画通りに進めていかなくてはいけません。
その計画通りに妊娠出産できなかった場合のルールも明確に決まっています。大卒初任給の3分の1ほどの金額の罰金に加え、その年のボーナスは無し。その後一切の昇進もない、というルールです。
この決まりを作った理由は、急に仕事を休まれると他の人達が困るからです。
実際中国では以前、何十年もの間、結婚、出産、離婚、の全ての承認を、会社から受ける必要がありました。会社がそういった人生のビッグイベントをきちんと把握している方が、物事がうまく進むから、だそうです。
もうこのルールはなくなりましたが、一人っ子政策はまだ残っていますから、子供を産みたいと考えている場合は、地方当局に前もって届け出る義務が今でもあります。
報告ではなくて予定の申告です。「そろそろ妊娠しようと思います」と役所に届けに行くとは、なんとなく不思議な雰囲気です。
上下関係があるならまだわかりますが、そんなことは一切関係の無い場でも、無理強いやごり押しは当然起こります。そういう国民性です。
タイの空港で、中国へ向かう予定だった飛行機が、天候不良のため飛び立てなくなりました。よくある飛行機の遅延です。
ちなみに中国発日本行きの国際線の飛行機で、時刻通りに飛び立つものは、朝一番の便だけです。毎日その後はどの便も全て欠かさず遅延します。天候は関係ありません。確立で表すなら、毎日の遅延率は98%くらいでしょうか。
ところがタイ発の中国行きの飛行機が遅れた時の中国人の怒りようは半端ではありませんでした。
もっとも夕方に経つはずが夜中の3時になってしまったのですから、怒るのも無理はありませんが、そういう時に中国の航空会社がする対処は決まって「お弁当と飲み物を出す」ですから、タイだからと言ってそれ以上のものを期待するのは厚かましい話。
この空港で待っていた中国人は、飛行機の遅延が不満で最初は大きな声でやいやいとやかましく文句を言っていただけでした。そしてそのうちいよいよみんなで大声で歌を歌い始めました。
歌と言ってもほとんどメロディーなど聞き取れず、騒音としか言えない状態です。もっとも、うるさく騒ぐのが目的ですから、美しい歌声である必要はありません。
お弁当とホテルの準備を申し出た航空会社側に対して、乗客の多くはそれを拒否しました。かわりに 20万円弱の慰謝料と、公の場での謝罪と、中国へ自分たちを送り届けてくれるボーイング747を要求しました。
そして大声で愛国心を高める中国の歌を歌いだしたというわけです。こういう時、実に見事に団結できるのは立派です。
駄々っ子同様に騒動を起こし、「仕方がない」と航空会社が折れるのを期待してのことでしたが、航空会社というこれだけの大きい組織が、もう既に作られた規則を破ってまでも、ごねる客の言うことを聞くわけがありません。
航空会社は結局、260人の乗客のうち悪質だった33人をブラックリストに載せ、搭乗を拒否しました。飛行機はこの騒動の3時間後、早朝に、この33人を置いて飛び立ちました。
結局、目一杯駄々をこねた彼らは一線を越えたことを思い知らされてから、その日の夜遅くに飛び立った飛行機で中国へ送り返されました。お祭り騒ぎが好きなのもわかりますが、ちょっとやり過ぎたようです。
自分の力でどうにかなるはず、と信じるのは、とても前向きでよいことです。ただ、無茶を言ってもダメなものはダメです。そこの線引きをわからない人が多いと、毎日が混乱です。
小突きあい、怒鳴り合いが絶えることもありません。はたから見る分には面白いですが、直接関わらない方が無難でしょう。
(参考)http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2015/07/03/women-must-get-
pregnant-on-schedule-chinese-company-tells-staff/tab/comments/
http://shanghaiist.com/2015/09/07/chinese-passengers-sing-national-anthem-
protest-delayed-flight.php
http://shanghaiist.com/2015/09/07/150-polluters-close-ahead-shanghai-
disneyland-opening.php
上海ディズニーランドって、また偽物かと思ったら本物だった。これで汚い工場が減って、公害がなくなるならどんどんディズニーランド作って欲しいけど、本当に夢の国になれるのかな?