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トルコのイスタンブールから約480キロ南西にある小さな炭坑の村、ソマの炭坑で13日爆発事件がおこり、当時作業をしていた301名の作業員が尊い命を落とすという大惨事となった。
爆発当時には約800人の炭鉱労働者が地上より2キロ、そして出口より4キロの所で閉じ込められていたと言う。
トルコ国民はこの大惨事に大変なショックを受け、この事故で命を落とした作業員の死を国民全体が悼んでいると同時に、作業員の安全管理を犠牲にしてまでも利益を追求した企業及び、そんな企業をしっかりと管理・監督を行っていなかった政府への怒りを抑えきれないでいる。
実のところ、恐ろしい労働環境事情がトルコには昔からあったのである。トルコでは鉱山業も含めた、全ての職種において、世界で最も安全性の低い国として悪名が高く、一万一千人以上の労働者が過去10年の間に職場でおきた事故で死亡しているのだ。
これを裏付けるように、2012年には国際労働機関が職場での死亡事故率が3番目に高い国としてトルコを挙げている。
さて、今回起きたこの大惨事は単なる不幸な“事故”ではなく、腐敗しきった政府により導入された炭坑の民営化が原因と言われている。
大惨事の舞台となったこのソマ炭坑は、2005年に民営化されている。政府より炭坑を買い取った新しいオーナーは当時、生産コストを1トンにつき120-130ドルから23.8ドルに引き下げたことを誇らしげに公表している。
確かになんとも誇らしげな生産コストの削減ではあるが、実際の所、作業員の安全対策及び安全基準をないがしろにして算出されたものであった。
また、経費削減で得られた利益は作業員には勿論のこと還元されず、一日の賃金は約20ドル程だった上に、作業トンネルは更に350メートル延長され、作業員の危険度がよりましたのである。
実際、トルコの首都、アンカラに拠点を置き活動をしているシンクタンク、TEPAVが発表した2010年のレポートでは、トルコでは発掘された石炭100万トンにつき、7.2人の作業員が無くなっていると言うのである。
中国では100万トンにつき、1.27人、アメリカでは0.04人、と言う数を考えると、トルコでの安全性の問題を疑う余地は無い。
しかし政府がこの数値を知らないのか、それとも知りたくないのか、実際のところ作業員の安全性に気を留めることはなく、2011年にはトルコ政府の命令により公的機関による民営化された鉱山の監視組織が廃止されたのである。
結果、国営の炭鉱では百万トンにつき4.41人が死亡しているが、民営化された炭鉱では百万トンにつき11.50人が亡くなっている。
トルコ国民は、何時まで経っても改善されそうも無い、職場の劣悪な環境に懲りたのか、この大惨事をただの“事故”として受け取ることはせず、国民一段となって、一日ストライクを行うなど、政府に改善を求めるよう立ち上がっている。
実際に大掛かりなデモが首都のアンカラなど各地で起きている。
しかしこの国民の動きとは逆に、トルコの首相エルドルン氏は今回の大惨事を以下のように述べている。
また、エルドルン首相のアドバイザーも、デモを行っていた人を足で蹴ると言うなんとも政治家らしくない?所も報道されている。
事故及び、トルコ政府の対応に対する海外への反応はやはり否定的なものが多くなっている。
腐敗しきった政府への国民の不満は、この大惨事が発生する以前からあったが、今回を機に、アラブ各地で起きた民主化運動の様に大掛かりな物へと発展するのであろうか。
(参考)http://www.theguardian.com/world/2014/may/14/turkey-mine-explosion-rescue-operation-live-updates
http://www.theguardian.com/world/2014/may/19/turkish-pm-aide-sick-leave-kicking-mine-disaster-protester
http://www.cbc.ca/news/world/turkey-mine-disaster-survivor-recounts-underground-horror-nahlah-ayed-1.2647696
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-27414972
トルコが職場での死亡率が高いなんて、国民の命を軽視しているようで許し難い。
日本では工場など危険な職場では安全に対する会議や指導が積極的に行われていて、安全第一の企業が多いので安心できる。