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今、世界中で「Happy」ブームが巻き起こっている。ファレルウィリアムズがリリースした新曲「Happy」のミュージックビデオは、世界中で2億回の再生回数を突破。
これに派生して、世界各国都市バージョンの動画が作製され、クロアチア、イタリア、ロンドン、ジャマイカ、パリ、北京、日本の原宿版などもアップロードされている。
Instagramにポスティングされた「Happy テヘラン版」イメージ
そんな中、この波に乗り、テヘランでも世界中の「Happy」ファンとつながりを求めて、テヘランの若者6名が同じように動画を制作し、アップロードしたところ、テヘラン当局から逮捕された。
この出来事は、イラン国内だけでなく、世界中に波紋を投げかけた。 若者達が釈放された後、イラン大統領のツイッターによるインターネットの検閲制度はやり過ぎだ、という援護射撃ともいえる発言を受けて、イランにはさらに世界の注目が注がれている。
それについて書かれた記事と一緒に世界の反応をみてみたい。
テヘランはご存知の通りイラン(正式国名 イランイスラム共和国)の首都であり、イランの文化的またイスラム教の戒律を厳格に守る宗教的中心地として位置づけされている。
インターネットに対する検閲はやり過ぎだ、というイラン大統領の非難があった数日後、6名の若者達は先月YouTubeにアップロードした 「Happy テヘラン版」の動画について、正式にテレビの前で謝罪声明を強いられた。
iPhoneで録画したビデオをFacebookとInstagramにのせることで、6人は世界中のHappyブームの参加者となった。
現在、140各国以上でローカル版のHappyビデオが制作されているという。Happyテヘラン版は、YouTube上で16万5000回のアクセスがあり、警察当局の目を引く結果となってしまった。
イランのハサン・ロウハーニー大統領の演説の中で、「イランはインターネットを脅威と見なすのではなく、思想の一つとて受け入れるべき」と論じていたとロイター通信は報道している。
後にロウハーニー大統領の発言は、彼自身のツイッターでも更新されている。
イランを揺るがすようなモノに対して立ち向かうには、古くさい方法ではなく近代的な方法で立ち向かうべきだ」
と発言している。
この逮捕された6人の若者たちが、テレビ番組中謝罪陳述を強いられたことで、イランの国中の人たちが怒りをあらわにした。
また、新しい文化の波を受け入れられないイランの理解力のなさを指摘するロウハーニ大統領を支持する動きが見られた。
ロウハーニ大統領のツイッター
#サイバースペース はチャンスの宝庫。素晴らしい相互コミュニケーションで効果的であり、仕事さえ作り出すことができる
とあるイラン女性のツイッター
ファラレルの Happy をテヘランで踊ったら、政府に逮捕されるわよ
Golnaz Esfandiari (ワシントンDCのニュース記者)のツイッター
#イランはHappyを歌うと犯罪になる国
Negar Mortazavi (イラン人ジャーナリスト)のツイッター
#イランの若者がファラレルのHAPPY の動画を作ったら逮捕された#彼らを釈放せよ
6人の若者達がテレビの前で「自分たちのビデオがここまで拡散するとも考えていなかった」と語る。
番組の中では、イラン警察チーフはこの動画は国家の社会通念を損なうものとし、イランの若者に対する警告として、「この拡散された動画に誘惑されることのないように」と釘をさした。
若者の逮捕につながったのは、彼らの動画がThe Huffington Post や Le Monde などの西洋メディアに流れてすぐのことだった。
IranWire という国内ニュースサイトでは、動画の中で踊っている女性が、イスラムのドレスコードに反しないように髪はカツラで隠していた、と報道している。
また、動画作製に参加した理由として、イランを世界中の人に良く知ってほしいからという思いからだったという。
「イラン国内でのいろんな圧力や制限があるとはいえ、若者はみな楽しそうだし、「今」を良くしようとしているわ。世界の他の国の人のように、みんな楽しみ方を知っているもの」
と女性はインタビューで語っていた。
イラン駐在の記者によると、イスラム社会制度と司法、さらに政治は別々の勢力を持つという。今回の若者の逮捕劇はそのイランの体勢を浮き彫りにした形となった。
テヘランでの若者の逮捕の知らせを受けて、ファレルウィリアムズは次のようなコメントをツイッターで残している。
ファレルウィリアムスのツイッター
ハピネス(幸せ)を広げようとした若者達が逮捕されるなんてことは悲しいという一言では言い表せないくらいだよ。
ま、しばらくすれば、彼らも加齢には勝てないから、この世からいなくなるだろうけどね。
今となっては、イランの時代錯誤が甚だしいってことと、若者の支持を得れないってことは明らかだね。海外在住のイラン人も賛同していけよ!
イラン国内で、この件に対して反発集会などが怒らなかったのが少し残念。イランは知るべきだよ。敵の敵は友であるってことをね。
おそらくこのイラン国内の権力者達は、これを掘り下げて調べ、国民を教育し直す必要があるんじゃない?
イデオロギーに反発した彼らのような若者が存在していることを幸運と受け止めるべきだよ。
もちろんハッピーになる権利もね!ほんとなんつー国さ、イランって。時間はかかるかもしれないけど、こうやって奮起した若者がいるってことは未来もあるってことよね。
日本では、表現の自由は憲法で保障されている。あまり憲法の内容を目にすることはないと思うのでここで少し抜粋しておきたいと思う。
ここでいう「表現の自由」は、人間の内心に存在する精神作用を外部に表す精神活動の自由を指す。形式は言論や出版によるものが最も多いが、今日では、街頭演説、印刷物、ラジオ、テレビ、レコード、録音テープ、演劇、音楽、絵画、彫刻など多種多様なものにわたる。
今もなお、さまざまな点で欧米化が進む日本だが今回のテヘランの若者のように国による制圧受けることなく、憲法で自由な思想、表現を保障されていることは、当たり前に受け止めてきている。
ここであらためて「自由」であることの意味、ありがたさをかみしめたいと思う。
(参考)http://thelede.blogs.nytimes.com/2014/05/20/young-iranians-arrested-for-being-happy-in-tehran/?_php=true&_type=blogs&smid=tw-thelede&seid=auto&_r=0
検閲を行っている国は日本を見て、検閲が必要のないことがわからないのだろうか。
表現の自由がないために多くのチャンスを失ってしまうのがとても悲しい。