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映画「スパニッシュ・アパートメント」の公開から数年、フランスでルームシェアが居住形態の一つの選択肢として確立されつつあります。しかしながら、時代の流れとともにフランスのルームシェア事情は変化してきています。
注目すべきなのは、以前はルームシェア利用者は学生がメインでしたが、最近では他の世代の人たちにも拡がってきていることです。このような変化の背景にはどんな事情が隠されているのでしょうか?今時のルームシェア事情についてレポートします。
市場調査やアンケートを専門とするフランス企業Institut CSAが2014年3月に行った調査によると、フランス人の約6人に1人がこれまでにルームシェアを経験したことがあるということです。
予想通り、その31%は18歳~24歳の大学生世代ですが、一番多い割合を占めていたのは実は54%の社会人層だったのです。
これまでルームシェアといえばお金のない学生がするものというイメージがありましたが、フランスでは近年、ルームシェアする層に変化が現れています。
ルームシェアを始める理由として一番多く挙げられるのは住居費を減らすためにという理由です。このところの不景気でマンションや家を購入する人は減り、新しい居住形態としてルームシェアが脚光を浴びているのです。
同じ家賃で一人で借りるよりも大きな部屋に住むことができますし、住居探しの点でもルームシェアの方が簡単に見つかることが多いのが大きな利点です。
特にフランスの大都市においては家賃がとても高く、一人暮らし用のマンションは家賃の支払いはとても大変です。
新卒の社会人や契約社員など若い労働者は収入がそれほど多くない場合が多く、不動産業者から仲介される物件を借りるための条件をクリアできないケースもよくあります。
ルームシェア斡旋業者Appartageの調べによると、ルームシェアしているサラリーマンの25%はSMICと呼ばれる全産業一律スライド制最低賃金しかもらっておらず、年間2万ユーロ(1ユーロ=135円とした場合、約270万円)以下の収入だそうです。
また仕事を得るために住み慣れた土地を離れなければならない新卒社会人も多く、すでに家具が揃っており、誰も知らない土地に一人で行く孤独感とも無縁なルームシェアは理想的な問題解決手段なのです。
ルームシェアが人気な理由として他に挙げられるものに、誰かと生活を共にすることで生まれる連帯感があります。一人暮らしの時にふと感じるさみしさからルームシェアに踏み切る人も少なくありません。
誰かと共同生活をすることで得られるあたたかみのある生活は暮らしを充実したものにしてくれるでしょう。最初は他人同士でも一緒に暮らすうちに新しい家族ができたような感覚になったという人もいます。
ここまでルームシェアが普及したのはこうした経済面以外の理由の存在が大きいのではないでしょうか。
このところ目を引くのは60代以降の定年退職した世代のルームシェア利用の増加です。こうした人たちは離婚や死別によってパートナーがいない場合も少なくありません。
収入が減っても孤独でない社会的な生活を送りたいと願う60代の人々が見つけ出した選択肢の一つがルームシェアというわけです。
老人ホームなどの高齢者用施設に入所するのは多くの費用を必要としますし、入所待ちしなければならないこともしばしばです。また、「まだそこまでの歳じゃない」、「まだ心の準備ができていない」とおっしゃる方も多々おられるでしょう。
一人暮らしをするのはなんとなく心許ないけど誰かのお世話になるほどではないし、まだまだ人生を楽しみたい、そんな元気なシニア世代にルームシェアのブームは拡がっています。
シニア同士がグループを作ってルームシェアする場合もあれば、学生とお年寄りの組み合わせのこともあります。前者の場合はルームシェアが長期間になる場合が多く、同居人の人選が特に重要だといいます。
後者の場合は買い物で車が必要な場合など学生がお年寄りを手伝えますし、学生は少ない家賃で広い家に住めるといったメリットが双方にあります。
しかし、学生側は夜遅く帰宅しすぎないようにしたり、お年寄り側はお茶のみ友達を頻繁に自宅に呼びすぎないようにするなど双方の配慮も必要になります。
また離婚経験者や片親で子供を扶養している場合など金銭上の理由などで小さな住居への引っ越しが余儀なくされるケースでも、ルームシェアはひとつの解決策となっています。
良い点満載のルームシェアですが、問題点がないわけではありません。たとえば賃貸手続きする時、ルームシェア用の賃貸契約はなく、一つの契約書にルームシェアする人全員が連名でサインします。
家賃の支払いは各自が行いますが、誰かの支払いが滞った場合は連帯責任で他の同居人が不足分を支払う義務が生じます。またルームメイトと性格が合わない場合もあり、その場合はまた新たな部屋探しを始めなければならないかもしれません。
ここでルームシェア利用者の声を紹介しましょう。
50代の女性が、独り立ちした娘さんが使っていた空き部屋を貸す人を探していたので、そこを借りてルームシェアをはじめました。彼女も私もルームシェアは初めてでしたが、すぐに意気投合しました。ルームシェアはとてもいいシステムですね。
それも人生の選択肢のひとつよね。老後も助け合って自立した生活を送りたいと思っていて、みんなで出資してひとつの家を買おうかという話が出ているわ。
マンションにお互いの友達を呼ぶ前にひと声かけるとか、お金のことはきっちりとするとか、掃除当番のこととか、ちょっとした決め事は必要ね。
それになんといっても信頼関係が築けるかどうかが重要よ。2年間一人暮らしだったけど、今の暮らしに満足しているわ。帰った時一人じゃないし、一緒に笑える人がいるのって最高よ!
★夜遅く帰ったらルームメイトはもう寝ていて玄関のドアは内側からロックされていて中に入れない。
★お風呂に残されたルームメイトの髪の毛を処理しなければならない。
★シンクにお皿が山盛りで残されていて、全員分の皿洗いをする羽目に。
★ルームメイトの気まぐれにいちいち付き合わなければならない、等。
いつかこの世界規模の不景気が収束すればフランスのルームシェアのブームも去るのでしょうか?それは定かではありません。なぜならルームシェアはただ単なる住居さがしの解決策ではなくなってきているからです。
ルームシェアすることによる財政面のメリットはもちろん重要ですが、ルームシェア生活で得られる充実感がルームシェアの人気の重要なポイントのようです。
フランス、特にパリをはじめとした都市部では不動産事情が悪く、フランス人でも気に入った物件を探すのに苦労しています。
日本では賃貸マンション探しはフランスほど大変ではないのでその点便利なのですが、ルームシェアもなんだか楽しそうですね。新たな生活スタイルとして日本でルームシェアが普及する日が来るのもそう遠くないかもしれません。
(参考)http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2014/01/15/01016-
20140115ARTFIG00512-avec-la-crise-la-colocation-concerne-toutes-les-
generations.php
http://www.psychologies.com/Planete/Societe/Articles-et-Dossiers/Colocation-
Ils-ont-choisi-de-partager-leur-chez-soi
http://www.lexpress.fr/actualite/societe/colocation-pour-tous_753165.html
http://patrimoine.lesechos.fr/patrimoine/immobilier/0203571187416-la-
colocation-a-le-vent-en-poupe-1013925.php#
http://www.lemonde.fr/societe/article/2009/08/11/la-colocation-seduit-de-
plus-en-plus-les-seniors_1227525_3224.html
http://forum.aufeminin.com/forum/societe4/__f3250_societe4-Pour-ou-
contre-la-colocation.html
海外コメントをみると多くの人がルームシェアを経験してるっぽいけど、中には失敗というか嫌な思いをしている人もいるみたい。シェアメイトの募集やルール決めは慎重に行って、日本でももっとルームシェアが一般的になればいいのに。
神経質な人が多い日本人には無理じゃないかな
何年か前に女性の友人同士でルームシェアしているドラマあったね。
老後自分もこんな風に友達と暮らしたいと憧れたわ。
大学で経験あるけど二度とゴメンだわ
狭くても一人暮らしの気楽さがマシ