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海外でも盛んに作られるようになった日本米が日本を襲う

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皆さんはタイ料理を食べられたことはありますか?「タイ米」と聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。1993年の米騒動で日本がタイ米を緊急輸入された際のイメージを強く持たれていらっしゃる方も多いと思います。

一度タイ料理を食べられたことのある方なら分かると思いますが、タイ米はとても美味しいお米です。そして、あまり知られていませんが2010年まではタイは世界第一位の米輸出国でした。

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※米の輸出国ランキング(2009年まではタイが世界一位の輸出国)

タイ米と日本米

最初にタイ米と日本米について簡単にご説明しましょう。まずタイ米はインディカ米といい、特徴は細長く粘り気がほとんどありません。

また、タイの最高級品ジャスミン米は、ジャスミンのように良い甘い香りがし、日本で購入すると3000円(5㌔)以上するお米です。

一方で日本米はジャポニカ米といい、丸っこく、粘りと甘みが強いのが特徴で、魚沼産コシヒカリは日本では2000円前後(10㌔)タイでは大体現地価格で5000円以上する高級食材です。

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※日本米の炊きあがりはふっくらもっちり。

どちらが美味しい美味しくないという議論は今回は置いておいて、先ほどタイは2010年までは世界第一位の米の輸出国であったと記しました。

2010年以降コメ輸出国第一位の座から転落することになってしまったのですが、その理由は当時のタイ政府による「コメ担保融資政策」が原因でした。

簡単に説明しますと、農家が作ったお米を政府が買い取ってくれる政策だったのですが、政府が買取資金を捻出できなくなったために農家にお金が入らなくなり、市場に出回らなくなったお米が大量に出てしまいました。

お米を作ったのにお金が入らなくなってしまった農家達は生活に困ってしまいます。そして、そのタイの農家達と今までにない新しい農業ビジネスを起こすために立ち上がった一人の日本人がいました。

今回は仕掛人である小宮克久氏の取組に注目し、小宮氏ご本人へのインタビューを通じてその活動をご紹介します。

日本米の可能性は海外で輝く!

小宮氏がタイ チェンダオで稲作を開始したのは2013年でした。

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※チェンダオの地の小宮氏
Q.いつごろから、なぜタイで日本の米を栽培してみようと思ったのですか?

A.タイに来る前は日本で旅館業を営んでいました。タイ チェンマイでもホテル業を営み始めたのですが、タイで発売されている日本米の質にずっと疑問を感じていました。

自分ならもっと美味しい日本のお米をこの地で作れる。美味しく安全な米を作れば、それは必ず新しいビジネスとして成功するはずだとずっと考えていました。

米をはじめとする農作物は「資源」です。石油を生み出すことは不可能ですが、農作物は人の手で生み出すことができます。日本から美味しい農作物を取り寄せるには高い関税と面倒な手続きが山積みで、容易なことではありません。

ならばこの地で日本米を作るノウハウを現地農家に伝えれば、新しい雇用、新しい生産、売上が生まれ、大きなビジネスに繋がるはずだ、と。

Q. 農家の反応はいかがでしたか?

A.悪かったです。今までの自分達の方法も出来上がる作物も全く違うものを一から作り始めるのですから面倒くさがります。ですが、提携地元農家の作物が商売として実際に取引されるようになると、他の農家達も皆こぞって日本米を作りたがりました。

それに2013年ごろから、当時のタイ政権の米担保買取りの未払いが出て来はじめた頃でしたから、日本米の取引による売上は提携農家を助ける形となりました。

初収穫までの道のり

提携農家の土地でいよいよ日本のコシヒカリの田植えが始まりまると、その土地ならではの問題に悩まされたようです。

Q. タイと日本の稲作にはどんな違いがありますか。

A.基本的には同じです。種籾の芽だしをし、発芽したら籾撒きをし、田植えをする。ただこの段階で、野鳥、リスなどの小動物、沢ガニに食べられるという問題が思った以上に大きかったです。

他の田んぼのタイ米は、それほど被害が大きくないのに比べてコシヒカリはよく鳥たちに食べられました。美味しいからでしょう。それに、タイ米は害虫や稲病から守るためにものすごい量の農薬を月4回に分けて散布しているのも原因だと思います。

他にもタイは雨期の雨量が多く、水はけの良い土壌づくりが整っていないため洪水が起きやすく、田んぼの水位が上がってしまいやすいので気をつけなければなりません。

また、タイでは基本種籾から精米まで全ての行程を手作業で行います。地価も上がってきて、ニーズと生産が合わなくなってきていますから、早い段階で機械化していかなければならないだろうと思います。

それにコシヒカリは、現地の旧式の精米機ではうまく精米できないことも分かったので、改善していかなければなりません。

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※水田の土壌づくりから稲刈りまですべてが基本手作業

Q.収穫されたコシヒカリの売れ行きは

A.初のチェンダオ産コシヒカリは、1トンのみでした。乾燥させる時、長雨にやられてしまったのです。

ですが、全て完売でした。オーガニック系の肥料を使うことで、コストがかかっているためタイ米の2倍以上の値段がついていますが、安心安全な食品はタイでも市場性があるという確信を得ました。

そして2015年には、タイ・オーガニック・コシヒカリもタイ米と同じ収穫量を得る事が出来、本格的に販路を広げていく下地が整いました。

日本米が現地農家、山岳民族を救うビジネスモデルとは

小宮氏のタイでの稲作は決して「支援」ではありません。あくまでもビジネスとして稲作を捉え、その上で現地農家たちも小宮氏自身も、双方が笑顔になるためのスタイルを貫いています。

Q.どういったビジネスの仕組みになっているのか簡単に教えて下さい。

A.まず収穫収入を逆算し、見合った金額を補償するという条件で提携農家を募ります。

そしてオーガニックですので手間暇が通常よりもかかるため、山岳民族の人たちにタイ人と同額の給与を支払い、新しい雇用を生み出します。収穫された米をまず農家から買取り我々が市場に流す、という仕組みです。

現地農家は今までのタイ米の時の三倍以上の収入が安定して得られ、山岳民族の新しい雇用が生まれ、安全な米が消費者の口に運ばれる。それを統括管理するのが自分の役割です。

チェンライでもコシヒカリ栽培が始まっています。チェンライはチェンダオよりも稲作の基礎が構築されているため、より安定した収穫が見込めます。

既にラオスへ卸すための準備も始まっています。今まで高価で手の届かなかった日本米は現地の人の手で作り出されることで国境を超えて、手軽に食べられるようになるのです。

自分はあくまでも統括管理の立場です。コシヒカリ栽培のノウハウや今後の機械化の仕組みづくりを現地の人たちに伝え広げるのが仕事です。米を生み出すのは現地の農家たちであることが、コシヒカリの可能性を無限に拡げていくのです。

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※実際に収穫されたタイ産オーガニックコシヒカリ

どうして日本人が体が小さくて可愛らしいのか分かったわ。日本のお米も小さくて可愛らしいからそれを食べているからなのね。
とっても素晴らしいわ。日本のお米の作り方はとても美しい。
日本人は本当に真面目で几帳面だ。
提携の契約は魅力的だけど、人手があるか・・・心配だ。
食べたいよ。どこで買えるの?
ちょうど自分も日本米を植えているよ。一キロ15バーツとても素晴らしい値で、しかも現金で売れるよ。
とても興味深いよ。僕も植えたいけど日本米を育てる為の自信を先につけなきゃだな。
日本米を大量生産体制で育てるにはとても苦労するだろうっていう事を僕は先に言っておくよ。とても丁寧に育てて、四六時中見守らなければいけないんだ。
日本米は稲を刈ったら24時間以内に干して乾燥させなければならないよ。それは手作業では本当に大変だよ。日本人はすごいね、そうやって米を作るんだ。
日本米は気候や、虫や病気から守らなければならないんだ。本当に子どものように育てないとダメなんだよ。こんなに気持ちを込めて米を育てることを日本人から学んだよ。
僕もこれから日本米を育てるところだよ。でも今までのタイ米の収穫量の方が多かったよ。今はだれも一緒に育てる人がいないんだ。日本米作りは作業が大変だからだよ。でもね、一キロ15バーツで売れるのは間違いないよ。これは素敵な事だよ。
提携はわずかな金額でできるんだ。すべての経費等を差し引いても今までの倍以上の利益が出る。これはタイのもち米を作るよりいいよ。
日本米をタイのもち米の代わりに作っている人が多いと聞いたよ。
チェンライにも日本米はあるよ。教えてくれる日本人もいた。でも最近姿がないんだ。また日本米を作れるのかな。
近所のスーパーで売っている日本のお米とは違うの?コシヒカリブランドで作った方が美味しい日本食が食べられる?
自分も日本米作りたい。
近所のスーパーの日本米は本物じゃないの?本物の日本米ブランドを教えて。
タイで作られた日本米は中国や韓国で安全安心の食べ物としてとても好評だよ。売値もいい。
タイで売っているベビーフードの日本米のお菓子は安全かしら。
本物の日本米と偽物の日本米を見分けるにはどうしたらいい?安全な美味しい日本食をもっと食べたいよ。

そして、コシヒカリはカンボジア、ブータンへ

タイで成功した小宮氏の稲作ビジネスは現在ブータンやカンボジアでも始まっています。日本の食を世界に拡げることができるのは、何も料理人や農家などの専門職人でなくてもよいのです。

むしろそういった部分は現地の人々に任せて、日本人はほんの少し手を貸すだけで良いのです。お米の展開をソフトウェアで展開することによりロジスティックが簡略化され、コストも抑えられます。

またこのようなやり方で農家達との取引もフェアなものとなり、日本の食は現地で身近な存在になります。もしかしたら日本食は海外で意外な、とても新しい進化を遂げるかもしれないのです。

現地のタイ人たちの声を見ると分かるように、安心安全な食に対するニーズは、これからタイでもますます高まっていくはずです。そして、そこに目を付けた偽物や、金儲け主義の商売も生まれて来ているのも事実です。

小宮氏のように実際に現地に入り、種籾から実際に商品が出回り、その代金を農家達が受け取る所までしっかりケアをする。

小宮氏のこのビジネススタイルは、現地の農家との信頼関係を築き、高品質なものを市場に送り出すという、対等な、全く新しい農業ビジネスを作り出すのです。

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※ブータンで始まった日本米つくり

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※カンボジアでは既に販売も始まっている

(参考)https://www.facebook.com/koshihikarichiangmai?fref=ts
http://www.marumura.com/talkative/?id=2720
http://thaipublica.org/investigations/%E0%B8%99%E0%B9%82%E0%B8%
A2%E0%B8%9A%E0%B8%B2%E0%B8%A2%E0%B8%82%E0%B9%89%E0%
B8%B2%E0%B8%A7/
https://www.gotoknow.org/posts/431452
http://www.rice2order.com/
http://www.komchadluek.net/detail/20140721/188640.html
http://www.chiangraifocus.com/forums/index.php?topic=422864.0
http://www.prachachat.net/news_detail.php?newsid=1390199514
http://www.manager.co.th/Japan/ViewNews.aspx?NewsID=9580000014395
http://news.voicetv.co.th/thailand/69238.html

海外でコシヒカリを栽培するってことが、どんどん広がってきていることに驚いた。日本の農家は大丈夫かな?さらなる品種改良が必要かも!

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コメント一覧
  1. 日本の名無しさん
    2015年6月22日 11:14 PM

    まず日本人が日本の米を食わないといけない。

  2. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 12:04 AM

    米食べないと余ってしまう

  3. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 12:55 AM

    こうやって技術をどんどん教えて自分達の首を締めていくんだよな
    そうやって教えても時間がたてば教えられたほうは感謝の気持ちがなくなり、日本を駆逐しようとしてくる。いい加減、外国は日本と違うということに気付こうや

  4. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 4:48 AM

    おいおい、魚沼産コシヒカリが、10kg 2000円で買えるわけないじゃん

  5. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 5:26 AM

    アメリカでもオーガニックのコシヒカリを作ってて、オ日本のシャレ系のオーガニックカフェがアメリカのコシヒカリを仕入れてるってやってたな。
    理由は日本のオーガニック米より安いから。
    アメリカはオーガニックの農産物が安いからね。

  6. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 7:26 AM

    TPPに備えないとな。

  7. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 7:50 AM

    ふぅん。って思うけど、それなら日本の農家さんのお米買うわ。
    潰れたり、無くなると困るし。

  8. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 11:02 AM

    生産量のことが書いてないからわからないが、おそらく日本全体の生産量/消費量に比べて圧倒的に少ないから日本の米農家の脅威にはならないだろう。

  9. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 3:19 PM

    世界的に見て日本食レストランも増えたし一般家庭でも和食を作るとこは増えただろうから需要はあるよね。
    日本住まいの私は当然国産のものを買うけど外国暮らしの人は手に入りやすくなれば嬉しいんじゃないかな。
    でもまぁ価格競争で米を輸出してる農家の経営が難しくなるとかそういうこともあるだろうね。

  10. 日本の名無しさん
    2015年6月23日 10:12 PM

    パンだと手も器も汚れないから、ラフなスタイルでサッと済ませてしまう。
    食事も片付けも楽。ご飯だとそうは行かない。手で持つとベタベタするから
    器が要るし、乾くと取れないから箸も器も浸け置き。シンクに置きっ放し。
    いつしか日本では、ご飯より手軽なパンを選ぶ人が多数派になってしまった。
    ラフなスタイルでサッと食べられるご飯があれば良いんだけどね。だけど、
    何かに急かされて座って食事が摂れないのは、子供の教育には良くないな。

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